秋の熱海モデルコース 時間の使い方で選ぶ4つの一日
秋は夏の暑さがひと段落し、街歩きや海辺歩きがしやすくなる季節です。とはいえ、夏の海水浴のように「秋ならこれ」と目的がひとつに決まるわけではありません。街を歩く、美術館で過ごす、少し長めに歩く、紅葉を見る。その日の気分によって、過ごし方はいくつも選べます。この記事では、時間の使い方が異なる4つのモデルコースを紹介します。
秋の熱海は「何をしたいか」でコースを選ぶ
- 街も海も楽しみたい → 街と海を歩くコース
- 一か所で静かに半日過ごしたい → MOA美術館で半日過ごすコース
- 歩くこと自体を楽しみたい → 伊豆山の高低差を歩くコース
- 秋らしい紅葉を中心にしたい → 紅葉から海へつなぐコース
はじめて秋の熱海を訪れるなら、選びやすいのは駅前、商店街、銀座、海と、熱海の街の変化がひと続きに入っている「街と海を歩くコース」。有名スポットを効率よく回れるからではなく、店を覗いたり、途中で休んだり、最後に海へ出たりしながら歩くうちに、熱海という街の距離感や雰囲気が自然につかめてきます。
寄り道しながら駅から海へ 秋の街を歩くコース
ルート:熱海駅 → 駅前商店街 → 大通り → 銀座 → 海 → 気分に合わせて+1
熱海駅から海まで、最短距離で歩けばそれほど長くはありません。ただ、駅前商店街から大通りを使って銀座へと歩くと、その途中にお店や横道がいくつも現れます。このコースの楽しみ方は「早く海へ着くこと」ではなく、その途中に時間を使うこと。気になるものがあれば足を止め、疲れたら店に入って休み、最後に海へ出る。それぐらいの気楽さで歩けるコースになっています。
駅前商店街
熱海駅前の平和通り商店街や仲見世通り商店街は、食べ歩きやお土産など人気のお店が立ち並ぶスポットですが、最初にお土産を買ってしまうとその後ずっと荷物を持ち歩くことに。行きは気になる店や商品を見つけておき、購入は帰りの駅前でという考え方がおすすめ。
駅前商店街では40〜60分ほど見ておくと、お店を覗いたり少し食べたりしながら歩く余裕が生まれます。
すべてを最初から買い揃える必要はなく、帰りにもう一度この商店街へ戻ってくる考え方が熱海の街歩きを楽にするコツ。
大通りで銀座商店街へ
駅から海へは、急な階段のある近道も存在します。
しかし距離を縮められる近道は、その分お店が少ない区間でもあるので、あえて大通りを選びます。
観光客で賑わう駅前だけでなく、街中にも昔から熱海で親しまれてきたお店も残っているので、歩きながら気になる場所を見つけやすく、疲れたときに店内で一休みしてから街歩きを続けられます。
銀座商店街でも、メイン通りだけでなく横道にも飲食店が広がっているので時間をかけてのぞいてみてください。今回は入らなくても、「こんなところに店があった」と見つけておくこと自体が、次に熱海を訪れるときの手がかりになります。
駅から海へは基本的に下り坂になるので、お店だけでなく景色も楽しみながら時間をかけて散歩したいコースです。
銀座商店街から海へ
商店街の坂を下りきったら左手へ。少し進むだけで建物の間から空が大きく見えるようになり、街中を歩いていたときとは景色が変わってきます。
駅前から商店街、大通り、銀座と歩いてきたあとに海へ出ると、熱海の街が山側から海までつながっていることも分かりやすくなり、銀座で見つけたものを持って、そのまま海辺まで歩いていける。この近さも、熱海の街歩きで知っておきたい距離感のひとつです。
海で休む
海に着いたら、すぐ次の場所へ向かわずここで少し休憩するのもポイントになります。立って海を見るならサンデッキ、座って過ごすならレインボーデッキ周辺が使いやすい場所。
海上に船が見えた日は、「あの船がこちらへ近づいてくるまで、もう少し座っていよう」くらいの過ごし方も。30分と時間を決めて休むのではなく、そろそろ歩こうと思ったところで次へ向かえば十分です。
夏の暑さが落ち着いた秋は、海辺で過ごすこと自体が街歩きのひとつになりますが、風が強い日は思った以上に冷えることもあるので、そんな日は早めに次へ。
海から先
ここから先は、決まった予定というより、ここまで歩いた気分や体力で選ぶ場所です。
- まだ歩きたい → 親水公園方面
- もう一か所見たい → 起雲閣
- 座って休みたい → 銀座方面のカフェ
- 十分に楽しんだ → 駅へ
徒歩にこだわる必要はなく、海から駅へは上り坂になるため、疲れていればバスという選択肢も。
徒歩で駅へ戻るなら、行きに見つけておいたお土産を、駅前で購入するタイミングにもなります。
秋の光があるうちに庭園へ MOA美術館で半日過ごすコース
ルート:熱海駅 → MOA美術館 → 庭園 → 展示 → カフェ・休憩 → 高台から海を見る → 熱海駅
MOA美術館を、短時間で回る熱海観光のひとつのスポットとしてではなく、ここだけで半日ほど使うコース。秋は庭園も見どころになるため、屋内の展示だけでなく外で過ごす時間も楽しめます。場所を増やさず、ひとつの場所に時間をかける半日です。
ランチをどうする?
MOA美術館で半日過ごすなら、食事は大きく2つの考え方があります。
早めに熱海へ着いた日は、駅前商店街で食べ歩きを楽しんでからMOAへ。いくつか食べておけばランチの時間をあらためて取らず、そのまま庭園や展示を見て回れます。
もうひとつは、駅からそのままMOAへ向かうパターン。まず庭園を歩き、そのあと美術館の中で食事やお茶の時間をつくります。
どちらにするかを最初に決めておけば、食事の時間を気にしながら庭園や展示を見る必要もなくなります。
まず庭園へ
屋内の展示は午後からでも楽しめますが、庭園は時間帯によって光の入り方が変わります。そのため、このコースでは外が明るいうちにまず庭園へ。
秋の庭園は木々だけでなく、その中にある建物と一緒に景色を楽しめるのも魅力です。庭園入口付近の片桐門や、歩いていくと見えてくる茶室など、場所を変えるたびに違った景色が現れます。
撮影するなら「ここが一番」と場所を決めてしまうより、庭を歩きながら気に入った景色を探してみるのも楽しみ方のひとつ。紅葉や建物の見え方を比べながら、少し時間をかけて歩いてみたい庭園です。
庭園のあとで展示を見る
外の光を先に楽しんだあとは、時間に左右されにくい屋内へ移ります。すべての作品を同じペースで見る必要はなく、気になる作品があればそこで時間を使ってかまいません。次の観光地へ急ぐことがないので、気分のままに、のんびり過ごしてみるのも秋らしい過ごし方につながります。
途中で食事やお茶をはさむ
MOA美術館には、本館のカフェやスイーツ店だけでなく、茶の庭にもそばや和食、抹茶を楽しめる場所があります。展示を見終えてからまとめて休むというより、庭園や館内を歩く途中に食事やお茶の時間を入れられるのも、半日かけて過ごしやすいところです。
海を眺めながらコーヒーを飲んだり、茶の庭で抹茶を楽しんだり。その日の気分に合わせて一度座る時間をつくれば、次の展示へ急がず、自分のペースで館内と庭園を行き来できます。
最後に高台から海を見る
庭園と館内を見て回ったら、最後に高台から海を眺めてから帰ります。館内からも海を一望できますが、本館2階側の出口から外へ出れば、海と熱海の街を眺めながら外の空気にも触れられます。高い場所にあるMOA美術館ならではの眺めを、帰る前にもう一度。
帰りは館内を通って下側の入口へ。途中の円形ホールでは、世界最大の投影型万華鏡も見ることができます。エスカレーターで下りながら万華鏡を楽しみ、そのままバス停へ向かいます。
熱海駅まではバスで戻るのが基本。徒歩という選択肢もありますが、そのルートは駅の裏側を通るため、観光地らしい景色が続く道ではありません。それでも普段の熱海の街を少し見てみたいなら、歩いて駅へ戻ることもできます。
山から海まで歩く 伊豆山の土地を体感するコース
ルート:熱海駅 → バス → 伊豆山神社前 → 伊豆山神社 → 徒歩で海側へ → 走り湯 → バス停 → 熱海駅
伊豆山神社と走り湯、二つのスポットを巡りながら歩くのは、高低差が大きく平らな場所の少ない伊豆山の土地。高い場所にある神社から海側の走り湯まで自分の足で下っていくと、歩くほど海が近づき、この土地の高低差を体で感じられます。
紅葉を見るための秋コースではなく、夏の暑さが落ち着き、坂や階段を歩きやすくなる季節だからこそ選びたいコースです。
伊豆山神社前までバスを使う
伊豆山は坂や階段が多いため、最初からすべてを歩こうとすると、伊豆山神社へ着く前にかなり体力を使ってしまいます。そこで熱海駅から「伊豆山神社前」まではバスで移動。
神社より下のバス停で降りると、そこからさらに長い上りが待っています。伊豆山神社前までバスで上がっても、本殿までは約200段の石段。この階段は自分の足で上り、参拝後の走り湯までの道にも体力を残しておきます。
この先は神社から海へ向かって実際に歩く区間が続くので、最初の上りまで無理に徒歩にする必要はありません。バスの系統や時刻は変わることがあるため、出発前に最新情報だけ確認しておくと安心です。
境内の約200段を上る
伊豆山神社前のバス停から本殿までは、約200段の石段を上ります。階段では海を背にして進むため、上っている間は目の前の石段が中心。少し疲れたら足を止めて、後ろを振り返ってみてください。
振り返ると海が見える場所もあり、景色を見ることがそのまま休憩のきっかけになります。急いで一気に上るより、途中で何度か立ち止まりながら進むくらいで十分。少し急な階段なので、足元にも気をつけて。
本殿まで上りきれば、バス停から歩いてきた高さも実感できます。
少し足を止めて境内の雰囲気を感じながら一休み。参拝を終えたら、今度は海側にある走り湯へ。
ここからは上ってきた道とは反対に、海へ向かって下っていく道のりです。
海を見ながら走り湯へ下る
参拝を終えたら、今度は走り湯を目指して海側へ。神社の階段下付近まで戻ると海が見えやすくなり、天気のよい日には日向ぼっこをしている猫に出会うこともあります。
ここから先は坂と階段が続き、平らな道はわずか。先ほどまで高い場所から眺めていた海へ向かって、坂と階段をほぼ真っすぐ下りていきます。歩くほど海が近づいてくるので、伊豆山の高低差は、地図で見るより実際に歩いた方がずっと分かりやすいはずです。
途中で大通りへ出たら、一度帰りのバス時刻を確認しておきたいところ。本数が多い場所ではないので、走り湯を見たあと慌てて坂を上らなくて済むよう、乗るバスを決めてから海側へ下ります。
走り湯
走り湯まで下りてくると、小さな横穴の入口があります。はじめて訪れると少し見つけにくい場所ですが、近くまで来ると立ち上る蒸気が目印になることも。
横穴へ入ると、中は想像していた以上の蒸気と湿気。実際に訪れたときも長くはいられず、10分もしないうちに外へ出ました。滞在時間だけを考えれば短い場所ですが、写真で見ていた走り湯と、実際に横穴へ入ったときの印象はかなり違います。
中は湿気が強いので、カメラなどを持って入る場合は機器の扱いにも注意が必要です。
帰りの上り坂
走り湯まで下ってきた分、帰りはバス停まで上り坂。坂と階段が続くので、帰りのバス時刻ぎりぎりに動き始めるのは避けたいところです。
実際に歩いたときは、急がず戻って20分ほどかかりました。歩く速さによって変わるため所要時間として「20分」と決めるのではなく、少なくともそれくらいの余裕を見て走り湯を出るのがおすすめ。途中で休むことも考えて、少し早めに戻り始めるくらいが安心です。
坂や階段が多いコースなので、足腰に不安がある場合は無理に走り湯まで下らず、伊豆山神社を中心に過ごす選択肢もあります。
熱海駅へ戻ったあとは、その日の体力次第。まだ元気なら駅前商店街へ寄ることもできますが、坂や階段をたくさん歩いたあとは、駅前の足湯「家康の湯」で足を温めてから帰るのもこのコースと相性のいい過ごし方です。
家康の湯は夕方早めに利用時間が終わるため、立ち寄りたい場合はその日の利用時間を確認しておきましょう。間に合わなければ無理に予定へ入れず、そのまま駅へ。
もみじまつりの朝から海へ 秋の景色を追いかけるコース
ルート:熱海駅 → 来宮駅 → 熱海梅園 → 徒歩で銀座方面へ → 昼食 → 海・ムーンテラス周辺 → カフェまたは駅
午前中は熱海梅園でもみじを楽しみ、そのまま山側から街へ下って銀座へ。昼食をとったあとは海まで歩き、海辺でも少しのんびり過ごすコースです。
紅葉だけを見て帰るのではなく、梅園から街、そして海へと歩いていくのがこのコースの楽しみ方。海辺まで来たら、海だけでなく街の後ろに広がる山にも目を向けてみると、梅園とはまた違った秋の景色を見つけられます。
午前中に熱海梅園へ
もみじまつりを楽しむなら、少し早めの時間から熱海梅園へ。午前中は園内に入る光がきれいで、日が当たったもみじは葉の色も鮮やかに見えます。紅葉を眺めたり、気になる場所で立ち止まって写真を撮ったりしながら、朝の時間を梅園で過ごします。
熱海駅からはJR伊東線で来宮駅へ移動し、そこから熱海梅園までは歩いて10分ほど。
もみじの見頃やもみじまつりの開催期間は年によって変わるため、出かける前にその年の情報を確認しておくと安心です。
橋を渡りながら紅葉を楽しむ
園内には初川が流れ、その上にいくつもの橋がかかっています。橋の上では紅葉を近くから眺め、渡ったあとに少し離れて振り返れば、今度は橋そのものを紅葉と一緒に楽しめる景色に。
同じ場所でも立つ位置を少し変えるだけで見え方が変わるので、橋を渡るたびに周囲を見ながら歩いてみてください。写真を撮るなら、紅葉だけでなく橋を入れた一枚を探してみるのも面白いところです。
入口から奥までひと通り歩くなら、30〜40分ほどがひとつの目安。写真を撮ったり気になる場所で立ち止まったりするなら、もう少し時間を見ておくと、急がず園内を回れます。
梅園から街へ下る
梅園を歩いたあとは来宮駅へ戻らず、そのまま銀座商店街方面へ坂を下っていきます。ここからは山側にある梅園から、昼食をとる街中へ向かう道のりです。
途中には来宮神社があり、時間に余裕があれば参拝してから銀座へ向かうこともできます。梅園で紅葉や写真に時間をかけた日はそのまま街へ、まだ午前中に余裕があれば来宮神社へ。どちらを選んでも、その先は坂を下りながら銀座商店街方面へ向かえます。
来宮周辺から銀座までは下りが中心になるので、午前中に梅園を歩いたあとでも街へつなげやすいルートです。
銀座商店街周辺で昼食、そのまま海へ
梅園から坂を下ってきたら、銀座商店街周辺で昼食を。午前中は紅葉を見ながら歩いているので、ここで一度座って休める時間をつくります。
食事のあとは、銀座からそのまま海へ。ここまで来れば海まではそれほど遠くなく、午後はサンビーチやムーンテラス周辺を歩いて、海辺で過ごす時間に。途中で気になるお店やカフェを見つけたら、無理に先を急ぐ必要もありません。
海辺でも秋の景色を探す
ムーンテラスまで来たら、すぐに次へ向かわず、海辺で少し時間を取ってみてください。午前中に梅園で紅葉を楽しんできた日なら、海だけでなく一度街の方を振り返ってみるのもおすすめです。
ムーンテラスからは熱海の街と、その後ろに広がる山を一緒に眺めることができます。梅園そのものが見えるわけではありませんが、秋には山の色づきが目に入ることも。朝に見た紅葉とは違う、海辺から見つける秋の景色です。
海辺のあとは昔ながらのカフェへ
もみじが見頃を迎える頃の熱海は、夕方になると冷え込む日も増えてきます。特に海辺は風を受けやすいので、ムーンテラスで過ごしたあとは、帰る前に暖かい店内へ。
海岸周辺には昔から熱海で親しまれてきたカフェが残っています。夕方早めに営業を終えるお店もあるので、立ち寄りたいお店があるなら閉店時間を先に確認しておくと安心。海辺で過ごす時間も、そこから逆算できます。
朝から梅園を歩き、街へ下って海まで来た一日の最後は、コーヒーや甘いものを楽しみながら少し長めに。店を出たら、あとは駅へ向かいます。
まとめ その日にしたいことから秋の一日を選ぶ
今回紹介した4つのコースは、一度の旅行ですべて回るためのものではありません。街を歩きたい日もあれば、一か所で半日過ごしたい日、坂や階段を歩いてみたい日、紅葉を中心に楽しみたい日もあります。
秋の熱海は、ひとつの楽しみ方に決めなくてもいい季節です。その日にしたいことをひとつ決めたら、あとは途中で気になる場所に立ち寄ったり、思ったより長く過ごした場所があったりしても大丈夫。
今回歩かなかったコースは、また別の秋に。季節は同じでも、選ぶ過ごし方を変えれば違った熱海を歩けます。

